イキスギコードの解説記事についていくつか補足します
お疲れ様です! いきくんです。
以前このブログで「イキスギコードの正体をわかりやすく説明します」という記事を書きました。
前中後編の3部作ですが、まだ読まれていない方は先にこれらの記事を読んでいただけると嬉しいです。
【前編】
【中編】
【後編】
今回はこれらの記事に、さらに2点の補足をしていきます。
ハーフディミニッシュのハイブリッドコード
以前の記事やYouTubeにアップした解説動画では、イキスギコードへのたどり着き方は「大きく2つ」と言いました。
間違ってはいないのですが、いくつか補足しておくべきことがあります。
まず、ハイブリッドコードについて。
イキスギコードは「ドミナントセブンス(9、#11)」あるいは「ドミナントセブンス♭5(9)」のハイブリッドコードという説明をしました。
が、よく考えたら原型はドミナントセブンスだけとは限りませんよね。
そもそもハイブリッドコードは3度を抜いているコードなので、もとがメジャーでもマイナーでも、同じものにたどり着きます。
ただ、今回の場合は少し特殊で、5度が半音下がったコードである必要がありますね。
よって、たとえ3度が抜いてあるといっても、「マイナーセブンス」からではイキスギコードにたどり着けないわけです。
(まあマイナーセブンス#11というコードを無理やり想定すれば可能ですが)
ところがこれ、普通に「マイナーセブンス♭5(=ハーフディミニッシュ)」からであればたどり着けますよね。
はい、正直に言いますと、すっかり見落としていました。
ということで、ドミナントセブンスだけでなく、ハーフディミニッシュが原型であるとみなすことも出来るわけです。これは非常に面白いポイントですね。
オーギュメントをもっと幅広く捉える
以前の記事では、まずはじめに「オーギュメントセブンスの第3転回形」という考え方でイキスギコードに辿りつく方法を説明しました。
そしてもう一つのポイントとして、
①「オーギュメントトライアド」は、各コードトーンの幅が全て均等なので、どのコードトーンをルートと考えても結果同じものである。
②「セブンス」とは転回して言い換えると「ルートの全音下」のことである。
③ということは、オーギュメントトライアドの各コードトーンの全音下をベースに持たせると何かしらのイキスギコードになる。
ということもお話ししましたね。
さて、基本的にはこれと同じことを別の言い方にするだけなのですが、
「オーギュメントトライアド」のベースを「裏」にする、という考え方があります。
「裏」とは「裏コード」でおなじみ、トライトーンの関係にある音のことですね。
5度圏(4度圏)で言えばちょうど反対側、インターバルで言えば「減5度(増4度)」、全音で言えば3つ分、半音で言えば6つ分。
つまり、「Caug」であれば、ルートの「ド」を裏にして「ファ#」。
その上に「Caug」が乗ると考えると、「Caug/F#」というイキスギコードにたどり着くことが出来るのです。
ただ、これって結局「ド、ミ、ソ#」の「ソ#」の全音下の「ファ#」をベースにするという考え方と言っていることは全く同じです。
でも、この「ルートの裏」という考え方も知っておくことが、イキスギコードの「文脈」を考える上では大事かな、と思ったので紹介しておきました。
もうひとつだけ。
そもそもオーギュメントトライアドは、全音上のオーギュメントトライアドと合体すると「ホールトーンスケール」という不思議空間を作ることのできるコードです。
これまでの説明は、オーギュメントの「ドミナント」的な側面に着目していましたが、オーギュメントコードはこのホールトーンスケール由来の不思議空間を生み出すために使われることもあります。
そして「オーギュメントセブンス」にしても、やはりその構成音は「ホールトーンスケール」の含まれています。
というわけで、イキスギコードはこのようにホールトーンスケールを前提とした解釈も可能ですよ、という補足でした。
これは以前の記事でも言いましたが、その性質上、いろいろなはたらきが同時に聞こえてくるのがイキスギコードの面白いところですね。
今回の補足は、その点についての理解をさらに深めるためのものでした。
よかったら解説動画の方も見て下さいね!
それではまた!
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