いきいき音楽科

音楽に関する様々な情報を発信している「いきいき音楽科」チャンネルのライブラリーです。

3月のイベントとクーポンコードのご案内

単発 | 無料記事 | いきいき編集部

 

こんにちは!

いきいき編集部です。

 

いきいき音楽科では今月、たくさんのイベントを企画しております。

様々なジャンルで活躍するゲストをお迎えしていますので、興味のある方はぜひご参加ください!

 

全長版が無料で視聴できるお得なクーポンコードも発行しています。詳しくは記事の下部に記載しています。

 

 

今後のイベント

『箏奏者の後藤礼奈さんに訊く! 和楽器の世界』

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3月15日(火)21:00〜

主に福井県で活躍する箏奏者・後藤礼奈さんをゲストにお迎えし、普段なかなか触れる機会のない「和楽器」の魅力について聞いていきます。

 

配信枠はこちら

 

有料の延長戦も行います!(¥275)

https://musemate.jp/event/venue_page/8

※MuseMateへの会員登録が必要です。(登録は無料)

 

『実演!Ko Tanakaによる弦楽四重奏・管楽器編曲の手引き』

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3月19日(土)21:00〜

いきいき音楽科ではおなじみの作曲家・Ko Tanakaさんによる編曲講座です。

原曲とは違う編成に編曲するにはどのような手順を踏んでいくのか、実演しながら解説していきます。

 

前半(無料)の配信枠はこちら

 

後半は有料でご案内しております。(¥500)

https://musemate.jp/event/venue_page/9

※MuseMateへの会員登録が必要です。(登録は無料)

 

『ベートーヴェン 交響曲第5番『運命』をプロの指揮者が解説!』

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3月21日(月祝)19:00〜

指揮者として活躍する平林遼さんが、ベートーヴェン 交響曲第5番『運命』をスコアを用いて解説していきます。

プロの指揮者が管弦楽曲を解説するという、今までありそうでなかった少し贅沢なイベントです!

 

前半(無料)の配信枠はこちら

 

後半は有料でご案内しております。(¥500)

https://musemate.jp/event/venue_page/7

※MuseMateへの会員登録が必要です。(登録は無料)

 

『スタジオラルゴ・ゆーすけさんゲスト生配信』

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3月29日(火)22:00〜

YouTubeチャンネル『スタジオラルゴ』でピアノのレッスン動画などを配信している

NY在住のピアニスト・ゆーすけさんをゲストにお迎えし、生配信を行います。

クラシック出身で最近ジャズを始めたというゆーすけさんの、ジャズに関するお悩みを解決していきます。

もちろん視聴者の皆様の疑問・質問にもお答えしていきますので、ジャズを練習中の方や始めたばかりの方も、ぜひご覧ください!

 

配信枠はこちら

 

『音楽理論の疑問・質問を清水響さんが解決!』

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4月2日(土)21:00〜

『コード理論大全』の著者で作家・音楽研究家の清水響さんが、皆様の音楽理論に関するお悩みを解決していきます。

「音楽理論ってよくわからない」という方や、「もっと深く知りたい!」という方にもおすすめのイベントです!

 

前半(無料)の配信枠はこちら

 

後半は有料でご案内しております。(¥500)

https://musemate.jp/event/venue_page/10

※MuseMateへの会員登録が必要です。(登録は無料)

 

アーカイブもあります!

イベントは、配信終了後にアーカイブをご購入いただくことも可能です。

今月すでに終了しているイベントが2つありますが、どちらもアーカイブでご視聴いただけます。

 

もう迷わない! 「和声法」基本のキ~ポピュラー音楽家のための~【全長版】MuseMate

出演:よしたく先生

料金:¥500

 

お茶のお湯かるてっとさんのゲスト配信【延長戦を含む全長版】MuseMate

出演:『お茶のお湯かるてっと』から りゅーいちさん・みやさん

料金:¥275

 

クーポンについて

この記事でご紹介したイベントは、どれも一部有料となっておりますが、これらを無料でご視聴いただけるクーポンコードがございます!

 

STAGE1

STAGE2

 

イベントのご購入画面で上記の2つのクーポンコードを入力していただきますと、イベントを無料でご視聴することができます。

使用期限は4月30日(土)までです。

ただし、このクーポンコードはそれぞれ1回しか使えないため、よく考えてお好きなものにご利用ください。

 

クーポンコードの入力の仕方

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イベントページにアクセスし、「クーポンを使用する」ボタンをクリック。

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クーポン入力画面にコードを入力し、「登録する」ボタンをクリック。

以上でクーポンの登録は完了です!

 

今回ご紹介したもの以外にも、これからたくさんのイベントを行う予定です!

4月30日(土)までは合計2つのイベントが無料でご視聴いただけますので、興味のある方はぜひご参加をお待ちしております!

 

いきいき編集部

ほげおん復習会vol.1のお知らせ

単発 | 無料記事 | いきいき編集部

こんにちは!

いきいき編集部です。

今回は、新しく開始するイベントについてお知らせします!

 

ほげおん復習会を開催します!

YouTubeでご好評をいただいている「ほげおん」シリーズ。

(正式名称「本気で覚える月曜日の音楽理論」)

おかげさまで先日ついに70回目を迎えました。

そこで、この「ほげおん」シリーズで今まで取り扱ってきた内容を総復習しよう!というイベントを開催します。

 

『ほげおん復習会vol.1』

【概要】

活動期間:3月4日(金)〜3月25日(金)

料金通常¥880オープン特価 ¥110

内容

#1~#30までの復習会です。(#31~#60はvol.2で扱います。)

 

上記の活動期間内に3回ミーティングを行います。

(¥110で3回のミーティングすべてに参加できます!)

ミーティングの日程は以下の通りです。

 

第1回:3月5日(土) 20:00〜22:00 #1~#10「音程」

第2回:3月12日(土) 20:00〜22:00 #11~#20「コード」

第3回:3月19日(土) 時間未定 #21~#30「スケール・モード」

 

ミーティング当日だけでなく、活動期間中はいつでも参加者限定ページで質問などやり取りが可能です。

 

募集期間

活動期間は3月4日(金)〜ですが、参加者は3月12日(土)まで募集します。

途中参加の方も、過去のミーティングはアーカイブでご視聴いただけます。

 

参加方法

『ほげおん復習会』への参加予約は下記のサイトで可能です。

まずは以下のURLにアクセスします。

 

 

申し込みには「MuseMate」へのログインが必要です。

会員登録がまだの方は、右上のボタンから登録をお願いします。

(登録は無料です。ハンドルネームとメールアドレスのみで登録できます。)

 

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ログイン完了後、「MuseMate」のホーム画面へページが切り替わります。

左側メニューの「ミューズラボ」から、『ほげおん復習会vol.1』の「詳細をみる」ボタンをクリックしてください。

 

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すると下の画像のように『ほげおん復習会』のページが開き、料金や活動期間が表示されます。

その下の「参加する」ボタンをクリックし、お支払い手続きに移り、申し込み完了となります。

(お支払い方法は、クレジットカード払いとなります。)

 

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ご参加お待ちしております!

『ほげおん復習会』は、いよいよ明日から活動が開始します。

いつもほげおんシリーズを見てくださっている方はもちろん、これから音楽理論を勉強していきたい方にもお勧めのイベントです!

¥110という特別価格でのご案内となっておりますので、興味のある方は是非ご参加ください!

 

※開発中のサイトの予約やコミュニティ機能のテストを兼ねているため、110円という特別価格でのご提供となります。

※決済システム等は60名のクローズドテストで不備がないことを確認済みです。

 

 

いきいき編集部

 

 

 

耳で聞いて覚える!シンセサイザー入門【音作りの基本】【UG】

単発 | 無料記事 | 著者:いきくん

こんにちは!

今回もいきいき音楽科の過去動画振り返りシリーズです。

 

今回振り返る動画はこちらです!

耳で聞いて覚える!シンセサイザー入門【音作りの基本】

youtu.be

 

ニューヨークのブロードウェイを拠点に作曲家として活躍するKo Tanakaさんによる、シンセサイザーの入門動画です。

 

耳で聞いて覚える

シンセサイザーに慣れていない僕からすると、

色んなボタンやつまみがついていて何をどう触ったらいいのか分からない

分からないから説明を読んでみると……

よくわからない波形や、数値や、グラフが出てきてとっつき辛い

このように感じておられる方は、僕以外にも多くいらっしゃるのではないかと思います。

 

この動画では難しいことはいったん置いておいて、耳で聞いて音を覚えていこうという趣旨で、まずは次の5種類を一通り聞き比べていきます。

 

サイン波(正弦波)1:10~

三角波 1:23~

ノコギリ波 1:45~

パルス波(1:1) 2:08~

パルス波(1:2) 3:00~

 

下記のプレーヤーで該当部分をご視聴いただけます。

 

シンセサイザーを触ってみよう

5種類の波形のキャラクターをなんとなく覚えたら、次はそれといくつかのつまみを組み合わせてみましょう。

 

Frequency(Cut Off Frequency)4:32~

フィルターのきき始める周波数を調整できます。

Resonance 6:05~

喉の開き具合を調整して特徴的な音を作れます。

 

 

将来的にはより具体的な仕組みを理解していくとしても、まずはここまでの5種類の波形と2種類のつまみを好きなようにいじって、耳で聞きながら様々な音色を作って遊んでみましょう。

 

ADSR

ここまで来たら、次は「ADSR」というつまみをいじってみましょう。

 

A:アタック 音の出だしをいじるつまみです。

S:サステイン 音を伸ばす具合をいじるつまみです。

D:ディケイ アタックからサステインで定めた音の終わりまでの減衰速度をいじれます。

R:リリース 音を切った後の余韻をいじれます。

 

サイン波、三角波、ノコギリ波、パルス波(1:1)、パルス波(1:2)の5種類の波形。

FrequencyとResonanceという2種類のつまみ。

そして「ADSR」を組み合わせると、かなりの音を再現できるようになります。

 

シンセサイザーを勉強しようと思うと、どうしても理系っぽい用語がたくさん出てきて戸惑ってしまいますが、今回の話は生の楽器を触るのと同じように直感的に試すことが出来ることばかりです。

ぜひ色々触って試してみてください。

 

宣伝コーナー

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2021/11/14(日)14:00~19:00

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12月26日(日)21:00~23:00

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16分の15拍子を長3度ずつ割った枠の上で自由に音を選ぶ作曲方法【UG】

単発 | 無料記事 | 著者:いきくん

こんにちは!

今回もいきいき音楽科の過去動画振り返りシリーズです。

 

今回振り返る動画はこちらです!

16分の15拍子を長3度ずつ割った枠の上で自由に音を選ぶ作曲方法

youtu.be

 

新ユニットでフジロックに出演、テレビアニメとのタイアップなど絶賛活躍中の作曲家・ピアニスト髙本りなさんをゲストに迎えた動画です。

2020年にリリースされたアルバム「HARU」の中から、「INCREMENTALITY」という楽曲の作曲技法を惜しみなく本人解説していただきました。

 

徐々に増えていく拍子

この曲は16分の15拍子として作曲されており、より具体的には16分の「4+5+6」というコンセプトになっています。

 

Incrementality…徐々に増えていく

 

曲名の通り4→5→6と16分音符のひとかたまりが徐々に増えていくのが特徴です。

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※記事上部の埋め込み動画で、この冒頭部分はすぐに聞けます。

 

長3度均等割りのベース

各かたまりの始めの音はそれぞれ「A♭」「E」「C」となっており、1オクターブを均等に3分割した関係性で動いていきます。

 

そしてベースラインはそれぞれ、

 

A♭:A♭ → E♭ → G♭ → A♭(1→5→♭7→1)

3rdは鳴らさずメジャーかマイナーかは断定しない。7thは短7度。

 

E:E → B → D → E → F♯(1→5→♭7→1→2)

あるいは、E → B → D♯ → E → F♯(1→5→7→1→2)

こちらも3rdは鳴らさず、7thは場合によって短7度を弾いたり、長7度を弾いたりと切り替えています。

 

C:C → G → D → E → F♯ → G(1→5→2→3→アプローチ→5)

こちらは基本的にメジャー3rdを含んでいます。最後の5thへのアプローチは下から行く場合と、上から行く場合があります。

 

イントロからこのベースラインがひたすら繰り返され、メロディが始まってもそのまま同じものを弾き続けています。

 

右手でコードサウンドを変える

この後16分の9拍子となり「4+5」のBセクションが入ります。

そして、それに続く8分の6拍子のセクション。

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※アルファベットはコード名ではなくベースの開始音

Aセクションでは「A♭、E、C」という均等割りをしていたところから、「B、G、E♭」という別の音による三等分に変わります。

 

このベースをキープしたうえで、メロディを乗せていきます。

 

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ベースに対して、右手のメロディがたどる音によって縦のサウンドが自由に決められていきます。

譜例1小節目の「B」では、メロディにD音が使われており、コードサウンドは「Bm7」になっています。

それに対して5小節目の「B」ではD♯音が使われており、こちらは1拍目が一時的にBメジャーコードになっています。

 

「コード」というよりは、ベースに対して縦に選んだ音がその瞬間の全体のサウンド(局所的なモード)を決定していくイメージです。

 

また、規則的に切り替わるベースに対して、メロディがうまく対応しながら横に流れるようにフレージングをしています。

 

コード的に見た場合のお互いの共通音をうまく使ったり、

5小節目のBメジャーを意識した音選びが4小節目の後半で先取りされていたり、必ずしも小節線に縛られるわけではない音の切り替えをしているのが分かります。

 

メロディの各音を常にどれかひとつのベース音と結びつける必要はなく、意識はするけど断定はしない。対応関係を曖昧にしておくことで自然な歌が作られています。

 

深堀

この8分の6拍子のセクションは結果的に「VIm7 - IVmaj7 - ♭IImaj7」という機能的な枠組みも形成しています。しかし、それが「分かった」からと言ってその曲が書けるわけではありません。この曲の場合はやはり3等分というコンセプトこそが重要です。既存の和声の考え方と、様々な発想法を柔軟に混ぜる作曲方法がコンテンポラリー音楽では多々用いられています。

 

機能和声に行き詰ったら

この曲の場合、一方では自由にメロディやコード(局所的なモード)のサウンドが決定されていきつつ、他方では1オクターブの3等分という規則的な骨組み=幾何学的なモチーフをキープすることで、いわゆる機能和声とは異なる発想で書かれていながらも聞きやすい音楽になっています。

 

一般的な機能和声に基づく作曲に行き詰ったら、普段やらないような作曲方法も試してみると、目の前にある音そのものに向き合う視点が強化されると個人的に思っています。ぜひ試してみてください!

 

生配信やります

というわけで、今回は「16分の15拍子を長3度ずつ割った枠の上で自由に音を選ぶ作曲方法」を振り返ってみました。

この動画は昨年のアルバムリリース記念に作ったものですが、作曲の裏話や精神的な話ではなく、他では話さないような具体的な方法論の部分を共有していただきました。

 

リスナー向けのインタビューも多々受けられている中で、音楽やる側のオープンなコミュニティという独特な立ち位置を理解してお話ししてくれた髙本りなさんには大変感謝しています。

そんな髙本りなさん、約10か月ぶりにいきいき音楽科の生配信へのゲスト出演が決定しました!

 

音楽についてテーマを絞らず雑談していきますので、よければ是非遊びに来てください。

youtu.be

 

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いきいき音楽科のYouTubeチャンネルで「文化祭」という生配信をします。

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僕の好きなコード進行とディミニッシュによる代理の拡張【UG】

単発 | 無料記事 | 著者:いきくん

久しぶりにブログ記事を投稿します。

これからしばらく、いきいき音楽科のYouTubeチャンネルに過去に投稿された動画を引用して、内容のまとめやアップデート情報を付け加えたものを書いていこうと思います。

 

今回振り返る動画はこちらです!

「僕の好きなコード進行とディミニッシュによる代理の拡張」

youtu.be

 

個人的に好きなVII7

0:45~

ワンメジャー セブンセブンス ワンメジャー

「5・7・5ですね」というコメントをいただいたときは天才かと思いました。

 Key of C majorのディグリーネームで I△ → VII7 → I△ は、コード表記すると「C△ → B7 → C△」です。

この進行、個人的に好きでよく使ってしまいます。

 

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特に、この進行上でメロディに「レ」をキープするサウンドをVampで使いがちなのですが、

他にも「ソ」をキープ(5→♭13→5)したり、ドをキープ(1→♭9→1)したり、B7sus4にして「ミ」をキープしたり、いろいろな応用が考えられます。

 

深堀

「B7→C△」は短調における偽終止の形。つまり、iii度調(Key of E minor)のV7→♭VI△(=属調のIII7→IV△)。これの解決先を主調(Key of C major)のI△にして、主調目線の分析で「V7 of III → I△」です。が、今回はそういったストレートな解釈の分析ではなく、創作の手法論が中心となります。

 

今後の記事でも「深堀」をたまに挟みますが、分からない用語がある場合ここはいったん飛ばしてとにかく試してみようという読み方も大歓迎です。

 

トニックディミニッシュ

この進行、ジャズ演奏における代理の発想で「 C → Cdim7 → C 」という補助ディミニッシュ(Auxiliary  Diminished)の仲間として使われることもあります。

 

例えば「Stella by Starlight(星影のステラ)」という有名なジャズスタンダードで、オリジナルは、

Cdim7 | Cdim7 | Dm7 | G7 |

となっている冒頭部分。ジャズのセッションでは、

F♯m7-5 | B7 | Dm7 | G7 |

と演奏されます。(ちなみに実際のソロにおいてはこの両者を自由に置き換えて演奏したりもします。)

 

これについては、別の動画(↓)で少し関連する内容を取り上げていますので、興味がある方は併せてご視聴ください。

 

この、ディグリー表記で「Idim7」となるコード、ジャズ理論の通称で「トニックディミニッシュ」と呼ばれることがあります。

 

ディミニッシュコードの特徴

①ディミニッシュコードの構成音は、正確に表記するともちろんそれぞれ変わりますが、鍵盤上で「Cdim7、D♯dim7、F♯dim7、Adim7」は異名同音でお互いの転回形と同じ音を押さえることになります。

そのため、ポピュラー音楽でコードサウンドをひとつの塊として聞くような場面では、お互いに置き換えても大枠での進行感は保たれます。

 

②ディミニッシュコードは、ドミナントセブンスコードのルート省略形として機能します。例えば「Cdim」は、その長3度下の音をルートとして加えると「A♭7」というコードの仲間と捉えることができます。

 

置き換え可能性の拡張

この2点を掛け合わせて、

 

Cdim7

D♯dim7(E♭dim7)

F♯dim7(G♭dim7)

Adim7

という置き換え可能性を、

 

Cdim → A♭7

D♯dim → B7

F♯dim → D7

Adim → F7

の右側、ドミナントセブンスコード側まで拡張してみようというのが今回の動画の趣旨です。

 

試してみよう

このとき「ディミニッシュセブンスならば、ドミナントセブンス側は常に♭9をとるべきでは」というのは理屈上正しいのですが、

ここではあらかじめひとつのオリジナル状態を決めておいて、

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メロディを固定したうえでのリハーモナイズという実践的な状況を想定して、まずは一通り試してみましょう。

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C→A♭7→C

個人的にこの進行もとっても好きです。

 

深堀

僕のいた大学ではこの進行はSpecial Function Dominant(文中ではSpecial Function Cadence)という何とも愛らしい表現で説明されています。

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【引用】Harmony 4 - Alex Ulanowsky

一方で、F/A→C/Gを経過的に繋ぐ増六の和音にルーツを見る話や、subV7/Vとして、Altered Subdominantとして、また「現代の音楽では」と断ったうえでの表現など、見落とされがちですが意外と丁寧な説明が試みられています。

 

C→B7→C

これは冒頭でも出てきた進行で、僕のイチオシのパターンです。

 

C→D7→C

これもアリですが、何も考えずに基本形で鳴らしたりするとちょっと微妙な感じもしますね。別なやり方として、C→D7/C→Cにしてリディアンのモーダルな雰囲気で処理することも可能だと思います。

 

C→F7→C

こちらはすごく普通な進行としてあり得ますね。ブルースの「I → IV → I」であったり、メロディックマイナーの「IV7」であったり、普通に生活していて出会うパターンです。

 

個人的には、「こう考えればこう出来る」という発想法や手法の話と、それによって生み出された進行が別の理論的背景から成立するものになるという”ぐるぐる回っている感”(表現下手ですまん……)にとてもワクワクします。

 

インプロヴィゼーションへの応用

A♭7

B7

D7

F7

 

というコードは、それぞれツーファイブ分割すると、

E♭m7 - A♭7

F♯m7 - B7

Am7 - D7

Cm7 - F7

 

になります(もちろん選択肢としては♭5も可)。

 

ジャズのアドリブのアイデアとして、トニックコード上でトニックディミニッシュを演奏するというものがあります。

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このとき、先ほどの発想を持ってきて、トニックコード上で上記のどれかのツーファイブを演奏するのも応用としてあり得ます。

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結果的にいわゆるアウトサイドなフレージングですが、ただ無作為に音を選んでいるわけでは(それもそれでいいのですが)なく明確な発想法があっての音選びなので、筋の通ったサウンドを作ることが出来ます。

 

これと同じ発想のリハモ、ギタリストのKurt Rosenwinkelが何かのバラードのソロのラインで弾いていて、感銘を受けて真似し始めたのですが元ネタが思い出せないので思い出したら追記します。

 

 

そんなわけで今回は「僕の好きなコード進行とディミニッシュによる代理の拡張」という動画を振り返ってみました。

今後も定期的に過去動画の振り返り&アップデート記事を書いていきますので、たまに覗きに来ていただけると嬉しいです!

 

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いきいき音楽科のYouTubeチャンネルで「文化祭」という生配信をします。

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対談番組「オトネクション」始まります!

単発 | 無料記事 | 著者:いきいき編集部

こんにちは。

いきいき編集部です。

久しぶりの投稿となりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

いきいき音楽科ではこの度、新番組を始めることになりました!

対談番組「オトネクション」

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毎回様々なジャンルのゲストを呼び、YouTube生配信でお届けするトーク番組です。

当番組では事前にゲストへの質問やメッセージも募集しており、視聴者の皆様と共に作っていく番組となっております。

初回放送は2月28日(日)22:00〜です!

初回ゲストは窪田想士さん

そんな新番組「オトネクション」の記念すべき第1回のゲストは、

ヴィブラフォン奏者・作編曲家の窪田想士さん。

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当チャンネルの動画にも度々ゲストとして出演していただいる窪田さんですが、当番組の初回放送にも出ていただけるとのことで、とても楽しみです♪

音楽の話、アメリカ留学の話など、気になることをどんどん聞いていきます!

質問・メッセージ募集!

当番組では、視聴者の皆様からゲストへのおたよりを募集しております。

窪田さんに聞いてみたいことやメッセージありましたら、ぜひ以下のリンクの「お便りフォーム」からお送りください!

※もちろん当日チャットでのご参加も大歓迎です!

 

またオトネクション公式HPでは、第2回以降のゲストも発表しておりますので、ぜひそちらの方もチェックしてみてください。

お楽しみに!

2月28日(日)22:00〜

明るいネガティブ打楽器奏者がアメリカ留学してプロの編曲家になった話【オトネクション第1回】

ゲスト・窪田想士さん(ヴィブラフォン奏者・作編曲家)

 

質問・メッセージ募集、第2回以降のゲストはこちら

番組配信ページはこちら

配信ページ

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

オトネクション第1回、お楽しみに!

1万人突破記念〜前夜祭〜

こんにちは。

いきいき編集部です。

 

早いもので12月に突入し、随分寒く、冬らしくなってきましたね。

あっという間に1年が終わってしまうので、毎年この時期になると焦ってしまいます。笑

 

今年の10月、おかげ様でチャンネル登録者数が1万人を突破しました!

 

それを記念して、12月20日(日)に「文化祭」を開催します。(YouTiube生配信で誰でも見られます。)

それに先立ち、前日の12月19日(土)に「前夜祭」というオンラインZOOMイベントを開催します。

 前夜祭の内容

ゲストトーク、演奏、作品視聴

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バーチャル空間からの生演奏、いきくんとのデュオ演奏、耳コピやアドリブについての様々なお話を伺います。

 

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学生時代に素晴らしいプレーヤーを集めて録音した音源や、企業勤めのサウンドクリエイターからNYやブロードウェイに舞台を移して活躍するようになった話などを詳しく伺います。

 

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弱冠22歳にしてグラミー賞受賞アーティストのツアーバンドに参加するに至った演奏や、練習方法、音楽への向き合い方などを伺います。

 

視聴者参加トーク

上記の3人とのトークセッションに参加者の方も直接Zoomで加わって頂けます。

(前日12月18日(金)までにご予約された方に限ります。)

世界を舞台に活躍する若手音楽家に聞いてみたいこと、話したいことがある方はぜひご参加ください。

もちろん聴講や、チャットでのコメントのみのご参加も可能です。

 

ご予約はこちら

一般チケット(300円)

https://tuketukekun.stores.jp/items/5f9812120eb24a3080ece3bc

 

特別チケット(1000円)

https://tuketukekun.stores.jp/items/5f9813010eb24a30b4ece8d1

 

Sonoligoからのご予約も可能です。

会員様は追加料金なしで「特別チケット扱い」でご参加頂けます。

https://www.sonoligo.com/events/4107

 

参加者全員プレゼント

前夜祭の参加者全員に

・1万人記念限定オリジナル壁紙(PC・スマホ)

・おすすめツーファイブリック集

をプレゼントします。

 

また、特別チケット、またはSonoligoでご予約の方は、後日特製のありがとう動画をお送りします。

 

当日イベント内での抽選会でゲストミュージシャンのオリジナル音源(MP3)も一部の方にプレゼントする予定です!

ふるってご参加ください!

 

ご予約方法

12/19(土)21:00〜22:30

 

①一般チケット

通常の300円のチケットで、どなたでもご参加いただけます。

https://tuketukekun.stores.jp/

 

②特別チケット

こちら基本的には通常のチケットと変わりませんが、いきいき音楽科への支援という形で1,000円で販売しています。

特別チケットでご予約してくださった方には、「ありがとう動画」のURLを後日お送り致します。

https://tuketukekun.stores.jp/items/5f9813010eb24a30b4ece8d1

 

③Sonoligoで予約

Sonoligoの会員になっている方は、追加料金なしで「特別チケット扱い」ご予約頂けます。

https://www.sonoligo.com/events/4107

 

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12月19日はZOOMで一緒に盛り上がりましょう!

 

 

ゲスト出演のお知らせ

単発|無料記事|著者:いきいき編集部

 

こんにちは。

いきいき編集部です。

 

本日は、Sonoligoのイベントのお知らせです。

 

作曲家の視点から「物語の解釈」を解説

11月27日(金)22:00〜

音楽家による「物語の解釈」シリーズ"走れメロス"

出演:Ko Tanakaさん

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NYにてミュージカル・舞台作品を手がける劇伴作曲家の視点から、「物語の解釈」を解説シリーズ。

第1弾は、教科書でもおなじみの"走れメロス"を解説していきます。

 

いきいき音楽科の動画やイベントにも、度々ゲスト出演してくださっている

作曲家・Ko Tanakaさんですが、今回はKoさん自らが主催者となり、単独でイベントを開催します。

 

ご予約はこちら

 

Music Office Nobuchiさんのイベントにゲスト出演します!

アーティストのマネジメントなどを行う会社

「Music Office Nobuchi」さんの主催するイベントに、いきくんがゲスト出演させて頂きます。

 

11月28日(土)21:00〜

クラシック×ジャズ

異なるジャンルを演奏する二人の奏者が語る

「クラリネットの魅力」

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タイトルにある通り、クラシックとジャズという異なるジャンルを演奏するお二人によるイベントで、クラリネット奏者・有馬理絵さんと対談します。

それぞれのジャンルでクラリネットという楽器はどんな魅力を持っているのか。

ジャンルによって吹き方は違うのか?

など、同じ楽器を演奏するお二人ならではの対談イベントとなっております。

 

ご予約はこちら

 

12月3日(木)20:00〜

クラシック×ジャズ

ピアニストとクラリネット奏者が語る

「音を自分の言葉で放つ方法」

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こちらはピアニスト・松岡優明さんとの対談イベントです。

異なるジャンルを演奏する上で、それぞれが普段からどんな音作りをしているのか。

自分なりに表現するにはどんな練習をしているのか。

など、楽器を演奏している方必見の内容となっております。

 

ご予約はこちら

 

12月以降もたくさんのイベントがあります!

今回は直近の3つのイベントをご紹介させて頂きましたが、12月以降も、様々なイベントを企画中です。

音楽をより楽しんで頂けるイベントとなっておりますので、よろしければご参加ください♪

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

いきいき編集部

1万人突破記念!文化祭やります!

単発|無料記事|著者:いきいき編集部

 

こんにちは。

いきいき編集部です。

 

いきいき音楽科のYouTubeチャンネルがこの度、登録者1万人を突破しました。

いつも動画をご視聴頂き、ありがとうございます。

 

1万人突破を記念して、 2日間の文化祭を開催します!

 

12/19(土)「前夜祭」

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文化祭ということで、この企画は前夜祭から始まります!

 

内容

・乾杯

・オープニング演奏

・ゲストトーク&音楽視聴

・プレゼント抽選会

 

前夜祭ではゲストをお迎えし、トークや音楽視聴をしていきます。

希望される方はトークに直接参加して頂くことも可能です!

(ゲストと直接トークをしたい方は、12/18(金)23:59までにご予約を頂いた上で、 Sonoligoのグループチャットにて参加申し込みを行ってください。)

 

「前夜祭」についてはイベントのサブスクサービス「Sonoligo」でもご予約いただけます。

現在Sonoligoに初めてご登録いただく場合、追加料金なしでイベント参加し放題のプレミアム会員(通常2,980円)が「初月無料→翌3ヶ月間、月額113円」という奇跡のキャンペーン中です。

 

こちらは11月15日までに登録した先着1103名限定のキャンペーンです。

113円の月額料金だけで「前夜祭」だけでなく他の全てのイベントに参加し放題になりますので、これが最もお得です。

 

登録はこちら

https://www.sonoligo.com/e/campaign

 

が、クレジットカードを持っていないなどどうしてもSonoligoに登録できない場合はチケットの一般も行っております。

 

一般予約

通常チケット:300円

特別チケット:1,000円

 

※特別チケットには活動支援の目的が含まれており、特典として「ありがとう動画」のURLがついています。

※Sonoligoでは追加料金なしで「特別チケット」としてご予約いただけます。

  

12/20(日)「文化祭」@YouTube生配信

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文化祭は12/20に、YouTubeで生配信します!(時間は未定です。)

今回のイベントは視聴者のみなさんにも参加型で楽しんで頂ける特別な内容となっております!

 

内容

・オープニング演奏

公募ステージ

・ゲストトーク・演奏

・エンディング演奏

 

同時進行企画

プレゼントクイズ

 

文化祭では視聴者のみなさんの作品や演奏動画を募集し、当日発表する公募ステージを行います!

 

公募については、

・3分の作曲作品、もしくは演奏動画(過去のものでもOK)

・オリジナル、もしくはパブリックドメインに限る

・フォームから応募(本日10月27日~11月30日まで)

・メッセージ(ビデオor音声or文章)も紹介 売名OK

・審査あり、8組を予定(仮)

・応募者全員プレゼント(くだらないもの)あり

 

 

ぜひご応募ください♪

 

詳しくはこちら

文化祭特設ページ

 

忘年会もやります!

文化祭に続き、翌週の12/26(土)、27(日)には忘年会もやります!

忘年会も視聴者のみなさんに自由に参加して頂けるイベントとなっております。

 

また、本日ご紹介させて頂いた「前夜祭」「文化祭」「忘年会」のゲストは、決まり次第特設ページにてお知らせさせて頂きます!

 

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

いきいき編集部

 

 

 

 

髙本りなさんにインタビュー 〜アルバムリリース記念〜

単発|無料記事|著者:いきいき編集部

 

こんにちは。

いきいき音楽科チャンネルでは、1stミニアルバムをリリースされたピアニストの髙本りなさんに、収録曲である「Incrementality」で用いた作曲法について解説して頂いた動画が出ています。


16分の15拍子を長3度ずつ割った枠の上で自由に音を選ぶ作曲方法【解説:髙本りなさん】

 

この動画の後半で公開しているアルバムリリース記念インタビューの、ノーカット版をこちらに全文掲載させて頂きます!

 

☆今回リリースされた、りなさんの1stミニアルバム『Haru』はこちらで高音質版DL販売されています↓

https://rinakohmoto.official.ec/

 

 

音楽を始めたきっかけ

壱岐:「Haru」というアルバムがつい先日リリースされましたので、せっかくなんでいろいろインタビューもさせて頂ければと思います。

アルバムのこともいろいろ聞きたいんですけど、まずそもそもルーツというか、音楽はいつ頃から始めたのかなとか、ピアノやキーボードにどうやって出会ったのかなとか、そういう話も最初にお聞きしていいですか?

 

髙本:はい。一番初めに触ったのが、赤ちゃんの時…物心つくかつかないかくらいの時に。

 

壱岐:鍵盤を持って生まれてきた?笑

 

髙本:あはは(笑)そう。こうやって(笑)

私の家には親とか親戚とかにミュージシャンはいないんですけど、私の母が幼稚園の先生をやっていた時があって、幼稚園の先生ってピアノかギターを弾けないといけないみたいなのがあって、歌を歌うから。

で、私の母がそれでアップライトのピアノを持っていて、家にあったんですよ。

私は赤ちゃんの時にそれでバンバンバンって遊んだりして興味持ってるのを見て、母がちっちゃい子用のピアノの教材を買ってきて、でっかく音符が書いてあるみたいなやつ。

これがドでここの鍵盤で、レはここでって教えてくれて。

で、そこから多分生まれつき好奇心が強いみたいで、もう自分でどんどん次の曲、次の曲ってやるようになってたみたいで。

それが3歳の時とかみたいで、4歳くらいになった時に、クラシックピアノのレッスンに通い始めたのが一番最初ですね。

 

壱岐:なるほど。

 

アメリカに行くまで

壱岐:大学は、日本では最初音大に入られていると思うんですけど、そうやって音楽の道に行くぞというのはいつ頃から意識していたんですか?

 

髙本:えっと私、日本では音大に行ってないんです。

 

壱岐:すみません。完全に勘違いでした(笑)

 

髙本:いえ(笑)でも高校が音楽科でした。

 

壱岐:ああ、なるほど。

 

髙本:そうなんです。

音楽の道に入るぞっていうのは、もうずっと考えていたというか、ピアノを弾かない選択肢というのが自分の中にはなかった感じで、もうずっと自然と私はピアノを弾いてる。

ピアノが好きだからとか、音楽が大好きだからっていうよりかは、もう自然と、というか。

 

壱岐:わかります。なんかもう生活の一部だから、それがない生活がよくわかんないっていう。

 

髙本:そうなんです。

なので、高校は普通科に行かずに音楽科に行ったんですが、ただ勉強するのも好きだったんですよ。

で、高校音楽科に行くと8割くらいの子は音大か教育学部の音楽専攻みたいなところに行くんですけど私はそこで普通の大学に行ったんです。

っていうのも、音大に入っちゃうともう音楽以外の勉強をしたくてもなかなか授業とかで取れないだろうなと思って。

だけど普通の大学に行くと、いろんな授業取りながら、かつピアノも続けられるだろうという気持ちで行ったんですが、まあなんだかんだあって大学を中退し、結局音楽の仕事を始めるという感じになりました。

 

壱岐:そしてアメリカに渡ってきたと。

 

髙本:はい。

 

壱岐:アメリカに渡るというのはいつ頃の決心なんですか?

 

髙本:決心は…ずっと興味があって。

小さい頃に海外に住んでいたこともあって、またいつか海外に出たいという気持ちはあったので興味はあったんですけど、もう東京で何年も仕事をしちゃってたので、今更留学するのは遅いかな。みたいな気持ちを抱いた時もあったんですよ。

だけど、やっぱり興味がずっと続いてたので、ああ、どうしようかな。というのが続いてた結果、ある日、でも今行かなかったらここから遅くなる一方だから、もう今が一番。

よく言う「人生の中で今日が一番若い」ではないけど、今が一番早いなと思って、じゃあ行こうって決めました。

 

壱岐:なるほど。

アメリカのバークリーで、噂によると僕と同期らしいですけど…

 

髙本:噂によるとっていうか、そうだよ(笑)

最初の説明会みたいなところで会いました(笑)

 

壱岐:僕はてっきり先輩かなって勝手に思ってたんで(笑)

 

髙本:同期です(笑)

 

壱岐:バークリーではジャズコンポジションとかを専攻されてて、作曲も結構ピアノと同じくらいずっとされてたんですか?

 

髙本:全然やってなくて。

ただ東京にいた頃の活動の一つに弾き語りでライブ活動をやっていて、歌詞もあって歌うっていう。

 

壱岐:歌もお上手ですもんね。

 

髙本:ありがとうございます。

それで、歌詞つきの曲の作曲というのは、自分の活動の一環でやっていたんですけど、「ガチの作曲」みたいなのは全然、未経験でした。

 

壱岐:コードをジャーンと鳴らしてメロディをのせるというのはやっていたけど、さっきみたいな16分の15拍子みたいなのは全然だと。

それでもアメリカでジャズコンポジションというガチガチな作曲の学科を取ろうと思ったきっかけは?

 

髙本:それは、単純に新しいことを勉強したかったからの一言です。

 

壱岐:なるほど。そうですね。僕自身もそうなんですけど、やっぱりみんな作曲とか取りたがりますよね。演奏が好きな人も。アメリカまで行って何かを勉強するんだったらやっぱり知らないことをやりたいっていう。

 

髙本:そうですね。

 

アルバムリリースの経緯

壱岐:そんなこんなで今回、アルバムをリリースされたんですけど、リリースの経緯とかあれば…

 

髙本:そうですね。もうずーっとアメリカに来て5年経ち、6年目に入ったんですけど、結構バークリーにいる間も、みんな周りの人たちはすごく積極的にどんどん自分のリサイタルを自主企画して。

自分で打ち込んでやったりとか、自分の曲を作って、人を集めて、レコーディングして、ビデオも撮るみたいな結構積極的にやってる学生さんたちが多くて、ああ、素晴らしいなと。

 

壱岐:窪田くんとか。

 

髙本:そうそう(笑)窪田くんとか(笑)

素晴らしいなって思いつつ、私がほかの人と違ったところは、ジャズの知識がほぼゼロの状態でアメリカに来たので、わからないから勉強しに行くんだから、わからなくていいって思ったって言ったらアレですけど、わからなくても自然というか。

自分のの中ではそういう気持ちで行ったので、まだ勉強し始めたばっかりだから、そんなみんなみたいに詳しくないから、リサイタルしたりとか、レコーディングしてビデオ撮ったりとかはまだ早いみたいなためらいの気持ちがちょっとあって。

そうこうしてるまま卒業してしまい、結局自分主催のライブも1回もやらず、レコーディングも1回もやらず、人のプロジェクトには呼んで頂いて、たくさん参加したんだけど、自分のことをやらないまま終わって。

いつもすごくサポートしてくれてる今回プロデュースもしてくれてる方がいるんですけど、その方に、「絶対にアメリカにせっかく行ったんだから、作品を作って発表して、そういうことをしたほうがいいよ」ってずっと言って頂いていて。

それでもやっぱりもうちょっと勉強してからとか、もうちょっと準備してからとか、結局できない人の陥るパターンみたいになっちゃてたんですよ。

やりたいやりたいとは思いつつ。

で、今回、世界的に状況が一変して、アメリカも…やっぱりアメリカって元々音楽の仕事もすごく多いので、音楽で生計を立てて行くっていうのはとても容易と言ったらアレですけど…

 

壱岐:そうですよね。絶対数が全然違いますもんね。

 

髙本:全然違います。

だったのが、仕事がすべて消滅し、オンラインでできる教える仕事とか、リモートで参加できる仕事とかに限られてきて、一気に時間ができ、家にずーっといる時間が増えて。

自分を見つめ直したというか、自分は今、何をするべきなのかっていうのを考えた時にやっぱり曲を作るべきだし、今やらないと、今自分に鞭を打ってじゃないけど、自分にエンジンをかけてやらないともうチャンスはないくらいに考えて。

それで今回のアルバムを作るにあたって、デモをたくさん作ったんですけど、30曲できた段階でプロデューサーさんに提出して曲を選び、レコーディングしたっていう流れです。

 

壱岐:30曲作ってからのなんですね。

 

髙本:そうです。

自分にちょっとだけハードルのある目標を作りたいと思って、この日までに30曲にするって紙に書いて壁に貼ってやりました。

 

壱岐:なるほど。そこから今回6曲にするのは、構成とかも含めて結構悩んだんじゃないですか?

 

髙本:結構ね、悩みました。

っていうのも私、何も考えないで作ると、結構カラーが割と暗め、ダークトーンで、ゆったりしているというか……。

まあとにかく暗めの曲が多くなって、私のアルバムなので、一番自分をリプレゼントするという意味では、自分らしい曲を6曲っていう感じにしても良かったんですけど、やっぱりそのプロデューサーさんの意向というか意見もあって、やっぱり聴いた人がいろいろな風景を見られるようなアルバムにしようってことで、今回この6曲になりました。

 

壱岐:なるほど。結構変拍子のものも多いのかなっていう印象なんですけど、そこにもこだわりとかがあったりするんですか?

 

髙本:そこは実は、こだわりはそんなになくて、変拍子が先ほど流させて頂いた3曲目と、あと5曲目「IGNITION」っていう曲の最初が8分の5かな。

最後の「Haru」っていうのも7拍子ベースなんですけど、特に最後の「Haru」とかは、7拍子で書こうとは思ってないですね。

そういうちょっと数にこだわったのは、やっぱり3曲目。

その他は、割と自然にできたかなと思います。

 

壱岐:書きたいものを書いたらたまたま変拍子だった。

 

髙本:うん。

 

アルバム名について

壱岐:今話に出た、アルバムのタイトルにもなっているアルファベットで『Haru』。これは絶対何かこだわりがありそうだなと。

 

髙本:そうですね(笑)『Haru』って私春生まれなんです。4月に生まれて。

 

壱岐:4月何日ですか?

 

髙本:4月15日、よいこの日です。

 

壱岐:あ、すごい。

 

髙本:そうなんです。だから良い子なんです。そう、それで、まあ春が自分の生まれた季節っていうのもあるし、春がとてもとても好きで。春の優しい光とか。「優しい世界」を求めてるんですよ。色々世の中ギスギスしているものを見ると、ちょっと悲しかったり、怒っている人とか、もちろん正当な怒りで表明すべきこととかもあるんですけど。ギスギスしちゃっているものを見ると、こう、優しくいたいなっていう気持ちが、日々自分の中にあるので。結構優しさみたいなものがテーマだったりして。それにピッタリなのがやっぱり自分の中では春っていう季節の、キラキラした感じとか、ウキウキした感じとか。「春」っていう言葉の語感もとても柔らかくていいじゃないですか。で、日本伝統の桜とか、日本を代表するもののアイコニックなものがある季節でもあるし、日本人としてアメリカでだす最初のアルバムとして、丁度いいかなと思い、つけました。

 

 

壱岐:いま、先行DL販売が始まったところで、まだまだバタバタだとは思うんですけど。これで一旦アルバムリリース一区切りしてからの、何か次の展開とかって決まってたりするんですか?

 

髙本:あるんです。今回のためにデモ30曲書いたので、毎日毎日曲を書いていて。で、曲を選んだ瞬間に曲書き月間が終わったので、あまり書かなくなって、あとはリリースに向けてレコーディングしたり事務作業したりに追われる毎日になったので、今また新しい曲を書きたい欲がすごいあって。あとはさっきもちょっと言ったんですけど以前弾き語りの活動をしていて、アメリカに来てからはほぼやっていないのでずっと歌は歌っていないんですけど、またそれも自分の好きなことだからやりたいなっていう気持ちがあって。次の作品は歌を入れた作品にしようかなと思っています。

 

壱岐:なるほど!企画ももう動いている感じですか?

 

髙本:はい。あとはライブもしたいですね。

 

壱岐:そうですよね。生演奏とかもね、なかなか難しいご時世ですけど。それじゃあ、アルバムリリースしたけど、ここで止まらずもう次の企画も動いているということで、乞うご期待という感じですね。

 

髙本:はい。どちらかというと私はスタートラインにやっと立てたぞっていう気持ちなので、ここからまた一歩ずつ進んでいきたいなという気持ちです。

 

壱岐:また告知とかあったらどんどんしにきてください。

 

髙本:ありがとうございます!いつもお世話になっています(笑)

 

壱岐:視聴者と一丸となって応援していきますので(笑)そんな視聴者の皆さんに最後にメッセージをお願いします!

 

髙本:はい。このアルバム、さっきもちょっと触れた私のルーツであるクラシック。あと私は4歳くらいの頃からテレビゲームが大好きで、ずっとゲームをしていたゲームっ子なので、ゲームの音楽も私のルーツに刻み込まれているなと思っていて。今回のアルバムもちょっとゲーム音楽っぽいなっていう感じもあると思います。いろんなジャンルが好きな方に楽しんでいただける作品になったと思うので、是非聞いてみて頂けたら嬉しいです。

 

壱岐:ダウンロードのリンクは説明欄の方に貼ってありますので皆さん是非チェックしてみてください。では、本日のゲストはアメリカ在住のピアニスト髙本りなさんでした。ありがとうございました!

 

髙本:ありがとうございました!


Rina Kohmoto 1st Mini Album 'Haru' Trailer

 

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髙本りなさんの最新情報はTwitterで↓

twitter.com

 

アドリブ練習会終わりました!

単発|無料記事|著者:いきいき編集部

こんにちは。

いきいき編集部です。

 

10月10日(土)、11日(日)の2日間に渡って、ジャズのアドリブに関するイベントをSonoligoで行い、昨日無事に終了致しました。

ご参加頂いた方、ありがとうございました。

 

私はスタッフとして参加していましたが、みなさんのやりとりを見ながら、楽しんで勉強させて頂きました。

 

今回はそんなSonoligoイベントの様子について、ほんの少しだけご紹介させて頂きます。

 

初級「アドリブソロってどうやるの?」

まずは1日目、10日(土)に行われた初級編です。

こちらのイベントは初心者向けということで、課題曲もシンプルな「C Jam Blues」を使用しました。

この曲で、参加者のみなさんそれぞれがアドリブに挑戦しました。

最初は少し緊張感も漂っていましたが、イベントの内容が進むにつれて雰囲気も和み、楽しい練習会となりました。

 

中級「もっと自由になるために」

続いては2日目、11日(日)に行われた中級編です。

こちらのイベントでは、課題曲として「Have You Met Miss Jones」を使用しました。

前日の初級編同様、この曲でアドリブをしました。

みなさん積極的にご自身のアドリブソロを発表してくださり、とても有意義な練習会になりました。

 

最後に

今回はSonoligoイベントではどんなことをやっているのかを、ほんの少しだけご紹介させて頂きました。

 

いきいき音楽科のSonoligoイベントは参加型のものが多いですが、人前で演奏したり発言するのが苦手な方は、聴講でのご参加ももちろん可能ですので、ご安心ください(^^)

これからもSonoligoでイベントを行っていきますので、興味のある方はぜひご参加ください♪

 

Sonoligoの会員登録・イベント予約はこちら

Sonoligo公式HP

 

本日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

いきいき編集部

「いきいき音楽科」編集部より初投稿です。

単発|無料記事|著者:いきいき編集部

初めまして。

いきいき音楽科編集部です。

その名の通り、普段はいきいき音楽科のサイト編集を担当していますが、今日はブログ記事の投稿もさせて頂きます(^^)

どうぞよろしくお願いします!

今回は編集部がどのような仕事をしているのかを、2つほど紹介させて頂きますので、ご興味のある方はぜひご覧ください♪

 

楽しいお仕事

まずは1つ目、これは私がとても楽しみにしている作業の一つです。

ズバリ、作品投稿コーナーの編集!

みなさんが投稿した作品を、どんどん公開していきます。

ここで投稿された作品はすべて聴いていますが、どれも素晴らしいものばかりで、

毎回「次はどんな曲が来るんだろう」と楽しみになります。

中には何度も投稿してくださる方もおり、みなさんがとても楽しんで音楽をやっているのが伝わって来るため、こちらとしてもとても嬉しいです♪

 

そんな作品投稿コーナー、引き続き作品を募集しておりますので、作曲や編曲をやってみたよ!という方は、お気軽にどうぞ!

作品投稿投稿フォーム

 

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ただいま苦戦中・・・

そして2つ目は、イベントやライブなどの「フライヤーの作成」です。

この作業も毎回とても楽しんでやっているのですが、困ったことが一つ。

それは、私が作るとダサくなってしまうことです・・・。泣

文字の大きさや色、写真の配置など、後から見返すと見にくい上にダサい(>_<)

そのため、何度も何度もやり直し、完成までにとても時間がかかってしまいます。

最近では少しコツを掴めてきましたが、まだまだなので、もっとセンスを磨いていかなければと思っています。笑

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このように、フライヤーで宣伝しているイベントですが、毎回みなさんに楽しんで頂けるものをご用意しております!

ただいま、以下のイベントが目前にせまっておりますので、ご興味のある方はぜひご参加頂けると嬉しいです。

 

9/25(金)18:20〜メンバー限定オンラインライブ「2クラリネットセッション」

9/26(土)22:00〜ブロードウェイミュージカルができるまで〜『えんとつ町のプペル』オンライン公演を終えて(Sonoligo)

イベント情報

 

最後に

今回、編集部として、初めて記事を書かせて頂きました。

少し長くなってしまいましたが、いきいき音楽科はこのような感じで楽しく運営をしております。

これからも音楽が好きなみなさんに楽しんで頂ける、また、ためになるようなコンテンツを提供していきたいと思っておりますので、これからもよろしくお願いします!

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

 

いきいき編集部

七夕様で学ぶリハーモナイズ【第七回】メロディとコード進行でキーが違う

連載|無料記事|著者:いきくん

 

こんにちは。いきくんです。

「七夕様」を題材にしてリハモを練習するシリーズの第七回です。

 

第六回はこちら↓

七夕様で学ぶリハーモナイズ【第六回】定番のエンディング - いきいき音楽科

 

 

ペンタトニック

今回のテーマはタイトルの通りなのですが、ちょっと難しいけど上手く決まると面白いリハモのテクニックのひとつに、

メロディはもとのキーのまま、コード進行だけ別のキーの動きをさせるというのがあります。

 

結論から言ってしまうと、このテクニックをもっとも使いやすいのはメロディがペンタトニックのときです。

言葉で説明するとややこしくなってしまいますが、だいたい何が言いたいのか分かったら是非実際に弾いて、実感してみてください。

 

「七夕様」のメロディは、そのキーの「1、2、3、5、6」番目の音だけで作られています。日本的に言うと「ヨナ抜き音階」、西洋音楽で言うとメジャーペンタトニックスケールです。

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このシリーズでは、七夕様の原型をメロディ+主要三和音という西洋音楽の様式で捉えてそこから様々なリハモをしているわけですが、

そうすると「4番目と7番目が抜かれている」というのは非常に重要なポイントです。

 

メジャーキーにとって、そのキーを決定づけているのは4番目と7番目。

どういうことかと言うと、メジャースケールとはそもそも「均等」「対称」な音の並びではないのです(全ー全ー半ー全ー全ー全ー半)。

 

数字の話なのであらゆる視点から同じことが言えるのですが、キーの中の「5度(/4度)音程」視点で言うと、4番目と7番目がこのキーにとって唯一のトライトーン。それ以外は完全5度です。

 

ということは、このトライトーンのどちらか一方を半音変えてやると、これまでの関係性が崩れて、今までのトライトーンは完全5度に、別の場所に新しいトライトーンがひとつ生まれるわけですね。

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4番目と7番目のどちらかが半音変わることによって、属調・下属調にいけるのです。

 

その2つの音がないということは、属調・下属調と共有している音だけがメロディだということです。

 

属調にとっては、もとの調の主音が属調のトニックコードのサウンドとクラッシュするため使い方が難しいのですが、

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下属調は非常に使いやすく、たとえば冒頭のメロディなんかは、以前リハモしたこちらのコード進行、

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まったく同じでコード進行のキーだけを下属調に移しても成立します。

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ええ~そんなのアリ?って感じですが、

よく知られているメロディであればあるほど、この手の「驚き」が良い効果を生んでくれることがあります。

 

同主短調と短3度関係

もうひとつ別の例として、同主短調の「♭VII7-♭IIImaj7」を弱→強のポイントに使うことで、短3度上のメジャーキーの「V7-Imaj7」で転調するつもりに見せかけるという技があります。

 

♭VII7は、英語圏のジャズミュージシャンからバックドアドミナントなどと呼ばれる定番のコードです。

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(過去に動画でも解説しています。)

 

IIm7-V7の通常のケーデンスの代わりに、IVm7-♭VII7でバックドアからトニックへ戻るという進行、サブドミナントマイナーのツーファイブ分割というキャラクターも兼ね備えています。

 

この♭VII7からメジャーキーのトニックに戻ることも当然できるのですが、ではこれをバックドアとしてではなく、通常のドミナントコードと捉えたとき本来の解決先はどこになるのかと言えば、♭IIImaj7ですね。

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同主短調は、主調から見た短3度上の長調の平行調ですから、そのキーのV-Iが短調側の♭VII-♭IIIであるという至極当然のしくみなのですが、

 

これを本来「もとのキーのV7-I」が来るはずのポイントに持ってくることで、

今どのキーにいるのか、というのを一瞬ぼかして浮遊感のあるサウンドにすることができます。

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(ちなみにこの例では、その後もとのキーのIVmaj7に対するセカンダリードミナントのツーファイブからするっと戻っていきます。)

 

乱暴な言い方をすれば、トニック上のメロディが「3rd」を演奏していなければ、コードクオリティはメジャー/マイナー置き換え放題ですから、トニックメジャー/トニックマイナーそれぞれの代理コードも使い放題です。

 

というわけで、メロディはそのまま同主短調側のコードを使う、というのがこの2つ目の例でした。

 

ある曲を別のキーに移調したり、「〇〇を短調にしてみた!」みたいな移旋するという遊びはよくされていると思いますが、メロディはそのままにハーモニーだけを別の調の動きで取り換えるというのも、一歩進んだ選択肢として持っておいて損はしないと思います。

 

こちらの動画もよかったら併せてチェックしてくださいね!

youtu.be

 

次回、第八回は「ここまでのまとめ」です!

 

七夕様で学ぶリハーモナイズ【第六回】定番のエンディング

連載|無料記事|著者:いきくん

 

こんにちは。いきくんです。

「七夕様」を題材にしてリハモを練習するシリーズの第六回です。

 

第五回はこちら↓

七夕様で学ぶリハーモナイズ【第五回】ドミナントセブンスあれこれ - いきいき音楽科

 

ツーファイブワン

さて、今回は「曲(1コーラス)をどうやって閉じるか」というお話です。

 

「1小節」単位でコードチェンジする場合、ジャズやここ数年のJ-POP・アニソンで非常に多いのが「ツーファイブワン」で終わるパターンです。

(あまり大きい声でいうと怒られる内緒の話ですが、「終わる」力のあるメロディであればハーモニーが必ずしも合致していなくても、ごり押しでツーファイブワン上に乗せてしまうとたいていサウンドします。)

 

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このIIm7→V7→Iは全てダイアトニックコードの最もシンプルなツーファイブワンですが、トラディショナルなスタイルのジャズでは「II7」が使われることが非常に多いです。

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ハッピーなスウィングものはもちろん、バラードにも見られるパターンなので、そういった時代の雰囲気が出したい場合は覚えておくと便利です。

 

他にもシンプルな「IV→V→I」や「I/5(第二転)→V7→I」、マイナーキーの「♭VImaj7→V7→Im」「♭VI7→V7→Im」など、

「細かくみると違うけど類似のハーモニックリズムを使うパターン」をセットで覚えておくと選択肢が広がります。

 

七夕様の場合

しかしながら、この曲の場合最後の4小節(※倍の尺)を、1小節ずつ「ツー→ファイブ→ワン」と進むと、メロディ側の解決ポイントとコード進行の解決ポイントがずれてしまいます。

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「敢えて」ならアリですが。

 

2拍チェンジなのか、1小節チェンジなのか、文脈によって言い方が変わるので、これはもちろんひとまとめに語れることではないのですが、

 

コーラスの終わりの解決ポイントは大雑把にいって、最後の2小節でトニックにいくタイプのもの、最後の1小節でトニックにいくタイプのもの、に分けることが出来ます。

(繰り返しますが1拍チェンジ、2拍チェンジ、1小節チェンジなど主となるハーモニックリズムによって数え方は変わりますし、例外は多々あります。)

 

七夕様の場合、メロディは後者に該当しますから、それに合わせてコード側の解決を「保留」して引き延ばすというのもひとつの手です。

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拡張(エクステンド)

ツーファイブワンはいわゆる「4度進行」の連続によるコード進行ですが、この4度進行を更に「拡張」するパターンもよく使われます。

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この場合解決ポイントは最後から2小節前に来ているわけですが、では最後の小節まで解決を引き延ばすにはどうしたら良いでしょうか。

 

もちろん先ほどと同じでもいいのですが、例えば他には……

帳尻合わせ

各コードの拍数をいじって帳尻を合わせるという選択肢もあります。

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(このときコードクオリティはある程度柔軟に考えます。詳しくは第二回。)

 

更に拡張

あるいは、4度進行を更に遡ることもできます。

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ツーファイブワンの連続、ジャズでは最も素直な進行とも言えます。

 

オルタナティヴ

似たような方向性ですが、「There will never be another you」で有名な例です。

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ちなみに僕が1コーラス目で実際に採用したコード進行はこんな感じです。

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終止保留

先ほど「Gm7→C7→B♭/F→F」で解決を引き延ばす例を紹介しましたが、

 

これは先ほどのように「メロディに合わせるため」だけでなく、「メロディだけ一足先に主音に解決して、コードが遅れてついてくる」という演出も可能です。

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フリジアン・モーダルインターチェンジの♭IImaj7はジャズバラードの終止保留などでも定番の選択肢です。やり過ぎるといやらしいですが…。

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僕がよくやるのは、繰り返しが前提のとき、そのコーラス内でトニックにいかず♭IImaj7を最後のコードにしてしまうパターンです。繰り返して1小節目に戻った時ようやくトニックが鳴ります。

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また、この♭系のコードを更に4度進行でエクステンドしていくパターンもあります。

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アレンジ次第ですが遡ろうと思えばどこまででも遡れますし、コードクオリティを変化させることも視野に入れると、選択肢は更に広がっていくはずです。

 

循環の2段目

最後におまけで、「循環」と呼ばれるタイプの曲にもよく見られる、定番の「終われるエネルギー」を持ったパターンを2つ紹介します。

 

「ド→ミ→ファ→ファ♯(実音:F→A→B♭→B♮)」というベースの動きが特徴的なパターン。

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「ド→シ♭→ラ→ラ♭(実音:F→E♭→D→D♭)」という内声の動きが特徴的なパターン。

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細部は無限に変化します。

 

というわけで、今回はここまでです。「曲をいかにして閉じるか」というのは、作編曲においてもアドリブにおいても選択肢を増やしておくといいポイントだと思います。

 

こちらの動画もよかったら併せてチェックしてくださいね!

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次回、第七回は「メロディとコードでキーが違う」です!

 

七夕様で学ぶリハーモナイズ【第五回】ドミナントセブンスあれこれ

連載|無料記事|著者:いきくん

 

こんにちは。いきくんです。

「七夕様」を題材にしてリハモを練習するシリーズの第五回です。

 

第四回はこちら↓

七夕様で学ぶリハーモナイズ【第四回】同じところを目指す色んなコード進行 - いきいき音楽科

 

 

♯9thを使ってみよう 

前回までに様々なリハモの選択肢や練習方法を紹介してきましたが、結果的に僕が採用したのはこんな流れです。

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11、12小節目は、2段目と同じ流れですが最後を「Bm7♭5-B♭m6」ではなく、ツーファイブの形で「Bm7♭5-E7♭9」としています。

同じような流れを作る、様々な別のパターンが考えられるという話は前回の記事でしましたね。

 

さて、10小節目(3段目の2小節目)に注目してください。

 

メロディが「C♮~A~」と動いており、Am7っぽい。でも直前の小節がAm7なのでコードチェンジしたい気がする、とはいえ直後の小節がDm7なので突拍子もないところに飛ぶのも何か違う、という状況です。

 

で、実際に採用したのがこちらのコード。

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意外と見落としがちですが、ルートから短3度の音がメロディにある場合でも、ドミナントセブンスタイプのコードを選んで充分によくサウンドします。

(もちろんケースバイケースですが、細かい場合分けはまたの機会に)

 

いわゆるドミナントセブンス♯9thのサウンドです(記譜は♭10thですが)。

 

ドミナントセブンス♯9thは、そのまま第三音をベースにしたディミニッシュセブンスにしても成立します。

 

が、今回僕は演奏予定だった編成的にも、Am7がルートをそのままにドミナントで上書きされる感じが欲しかったのでA7(♯9,♭13)にしました。躍動的なベースを求めている場合は「C♯dim7」にしたと思います。

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ちなみに、ドミナントセブンスタイプのコードは、メロディを♭9、9、13などはもちろんのこと、♭5/♯11、♯5/♭13などを想定することもできます。

この辺りの響きを駆使して刺激的なサウンドを探してみるのもおすすめです。

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5度下だけじゃなく…

ドミナントセブンスについてもうひとつ知っておくと便利なポイントがあります。

一般に、ドミナントセブンスは5度下に解決する力を持ったコードですから、隣の解決先から見て5度上の音をルートに持つコードを想定しがちです。

 

具体的には、まさに先ほどの例のように、「Dm7」を目がけて「A7」を設定している状態です。

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一方、一般にV7/V(ダブルドミナント)で多用されるパターンで、実はすべてのドミナントセブンスに対して適用できるのが、

進む先がマイナーセブンス(またはマイナーセブンス♭5)コードの場合、同じルートのドミナントセブンスをその手前に置くというパターンです。

 

ちょっと変なことを言っているように見えますが、具体的には「Dm7」の手前に「D7」を設定するということですね。

 

マイナーセブンス(マイナーセブンス♭5)は、ツーファイブの「ツー」となり得るコードです。

このとき、その「ツー」を通りこた「ファイブ」に対する「ファイブ」を「ツー」より手前に置くことがよくあります。もうこんがらがってきましたが、こういうことです。

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見覚えある方も多いのではないでしょうか。このとき理屈上飛び越えらているような扱いの「Dm7」をインターポレイテッドコードなんて言いますが、名前はさておきルートが同じドミナントセブンスとマイナーセブンスが隣り合う状況というのは、意外に身近にあるということです。

 

もちろんこれでも成立しているのですが、その上でもう一点。

 

セカンダリードミナントなどは、理屈上は解決先のダイアトニックコードがまずあって、その5度上のコードを想定するということになるのですが、

実際に曲の中で時間的に先に鳴るのはドミナントの方です。

 

「Dm7-G7」を見越して「G7」に対する「D7」を置き、それが「D7-Dm7」と進みました、というところでその次を素直に「G7」にしなければならないということでもないのです。

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 理屈上は「G7」を想定して「D7」を持ってきたかもしれませんが、「D7」はもう鳴らしてしまいましたから、それが本当に「G7」に行くかどうかは知りません、という無責任な話です(笑)

 

というわけで、今日はリハモの際にドミナントセブンスについて知っておく使えるいくつかの話をさせて頂きました。

 

こちらの動画もよかったら併せてチェックしてくださいね!

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次回、第六回は「エンディングの定番パターン」です!