いきいき音楽科

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髙本りなさんにインタビュー 〜アルバムリリース記念〜

単発|無料記事|著者:いきいき編集部

 

こんにちは。

いきいき音楽科チャンネルでは、1stミニアルバムをリリースされたピアニストの髙本りなさんに、収録曲である「Incrementality」で用いた作曲法について解説して頂いた動画が出ています。


16分の15拍子を長3度ずつ割った枠の上で自由に音を選ぶ作曲方法【解説:髙本りなさん】

 

この動画の後半で公開しているアルバムリリース記念インタビューの、ノーカット版をこちらに全文掲載させて頂きます!

 

☆今回リリースされた、りなさんの1stミニアルバム『Haru』はこちらで高音質版DL販売されています↓

https://rinakohmoto.official.ec/

 

 

音楽を始めたきっかけ

壱岐:「Haru」というアルバムがつい先日リリースされましたので、せっかくなんでいろいろインタビューもさせて頂ければと思います。

アルバムのこともいろいろ聞きたいんですけど、まずそもそもルーツというか、音楽はいつ頃から始めたのかなとか、ピアノやキーボードにどうやって出会ったのかなとか、そういう話も最初にお聞きしていいですか?

 

髙本:はい。一番初めに触ったのが、赤ちゃんの時…物心つくかつかないかくらいの時に。

 

壱岐:鍵盤を持って生まれてきた?笑

 

髙本:あはは(笑)そう。こうやって(笑)

私の家には親とか親戚とかにミュージシャンはいないんですけど、私の母が幼稚園の先生をやっていた時があって、幼稚園の先生ってピアノかギターを弾けないといけないみたいなのがあって、歌を歌うから。

で、私の母がそれでアップライトのピアノを持っていて、家にあったんですよ。

私は赤ちゃんの時にそれでバンバンバンって遊んだりして興味持ってるのを見て、母がちっちゃい子用のピアノの教材を買ってきて、でっかく音符が書いてあるみたいなやつ。

これがドでここの鍵盤で、レはここでって教えてくれて。

で、そこから多分生まれつき好奇心が強いみたいで、もう自分でどんどん次の曲、次の曲ってやるようになってたみたいで。

それが3歳の時とかみたいで、4歳くらいになった時に、クラシックピアノのレッスンに通い始めたのが一番最初ですね。

 

壱岐:なるほど。

 

アメリカに行くまで

壱岐:大学は、日本では最初音大に入られていると思うんですけど、そうやって音楽の道に行くぞというのはいつ頃から意識していたんですか?

 

髙本:えっと私、日本では音大に行ってないんです。

 

壱岐:すみません。完全に勘違いでした(笑)

 

髙本:いえ(笑)でも高校が音楽科でした。

 

壱岐:ああ、なるほど。

 

髙本:そうなんです。

音楽の道に入るぞっていうのは、もうずっと考えていたというか、ピアノを弾かない選択肢というのが自分の中にはなかった感じで、もうずっと自然と私はピアノを弾いてる。

ピアノが好きだからとか、音楽が大好きだからっていうよりかは、もう自然と、というか。

 

壱岐:わかります。なんかもう生活の一部だから、それがない生活がよくわかんないっていう。

 

髙本:そうなんです。

なので、高校は普通科に行かずに音楽科に行ったんですが、ただ勉強するのも好きだったんですよ。

で、高校音楽科に行くと8割くらいの子は音大か教育学部の音楽専攻みたいなところに行くんですけど私はそこで普通の大学に行ったんです。

っていうのも、音大に入っちゃうともう音楽以外の勉強をしたくてもなかなか授業とかで取れないだろうなと思って。

だけど普通の大学に行くと、いろんな授業取りながら、かつピアノも続けられるだろうという気持ちで行ったんですが、まあなんだかんだあって大学を中退し、結局音楽の仕事を始めるという感じになりました。

 

壱岐:そしてアメリカに渡ってきたと。

 

髙本:はい。

 

壱岐:アメリカに渡るというのはいつ頃の決心なんですか?

 

髙本:決心は…ずっと興味があって。

小さい頃に海外に住んでいたこともあって、またいつか海外に出たいという気持ちはあったので興味はあったんですけど、もう東京で何年も仕事をしちゃってたので、今更留学するのは遅いかな。みたいな気持ちを抱いた時もあったんですよ。

だけど、やっぱり興味がずっと続いてたので、ああ、どうしようかな。というのが続いてた結果、ある日、でも今行かなかったらここから遅くなる一方だから、もう今が一番。

よく言う「人生の中で今日が一番若い」ではないけど、今が一番早いなと思って、じゃあ行こうって決めました。

 

壱岐:なるほど。

アメリカのバークリーで、噂によると僕と同期らしいですけど…

 

髙本:噂によるとっていうか、そうだよ(笑)

最初の説明会みたいなところで会いました(笑)

 

壱岐:僕はてっきり先輩かなって勝手に思ってたんで(笑)

 

髙本:同期です(笑)

 

壱岐:バークリーではジャズコンポジションとかを専攻されてて、作曲も結構ピアノと同じくらいずっとされてたんですか?

 

髙本:全然やってなくて。

ただ東京にいた頃の活動の一つに弾き語りでライブ活動をやっていて、歌詞もあって歌うっていう。

 

壱岐:歌もお上手ですもんね。

 

髙本:ありがとうございます。

それで、歌詞つきの曲の作曲というのは、自分の活動の一環でやっていたんですけど、「ガチの作曲」みたいなのは全然、未経験でした。

 

壱岐:コードをジャーンと鳴らしてメロディをのせるというのはやっていたけど、さっきみたいな16分の15拍子みたいなのは全然だと。

それでもアメリカでジャズコンポジションというガチガチな作曲の学科を取ろうと思ったきっかけは?

 

髙本:それは、単純に新しいことを勉強したかったからの一言です。

 

壱岐:なるほど。そうですね。僕自身もそうなんですけど、やっぱりみんな作曲とか取りたがりますよね。演奏が好きな人も。アメリカまで行って何かを勉強するんだったらやっぱり知らないことをやりたいっていう。

 

髙本:そうですね。

 

アルバムリリースの経緯

壱岐:そんなこんなで今回、アルバムをリリースされたんですけど、リリースの経緯とかあれば…

 

髙本:そうですね。もうずーっとアメリカに来て5年経ち、6年目に入ったんですけど、結構バークリーにいる間も、みんな周りの人たちはすごく積極的にどんどん自分のリサイタルを自主企画して。

自分で打ち込んでやったりとか、自分の曲を作って、人を集めて、レコーディングして、ビデオも撮るみたいな結構積極的にやってる学生さんたちが多くて、ああ、素晴らしいなと。

 

壱岐:窪田くんとか。

 

髙本:そうそう(笑)窪田くんとか(笑)

素晴らしいなって思いつつ、私がほかの人と違ったところは、ジャズの知識がほぼゼロの状態でアメリカに来たので、わからないから勉強しに行くんだから、わからなくていいって思ったって言ったらアレですけど、わからなくても自然というか。

自分のの中ではそういう気持ちで行ったので、まだ勉強し始めたばっかりだから、そんなみんなみたいに詳しくないから、リサイタルしたりとか、レコーディングしてビデオ撮ったりとかはまだ早いみたいなためらいの気持ちがちょっとあって。

そうこうしてるまま卒業してしまい、結局自分主催のライブも1回もやらず、レコーディングも1回もやらず、人のプロジェクトには呼んで頂いて、たくさん参加したんだけど、自分のことをやらないまま終わって。

いつもすごくサポートしてくれてる今回プロデュースもしてくれてる方がいるんですけど、その方に、「絶対にアメリカにせっかく行ったんだから、作品を作って発表して、そういうことをしたほうがいいよ」ってずっと言って頂いていて。

それでもやっぱりもうちょっと勉強してからとか、もうちょっと準備してからとか、結局できない人の陥るパターンみたいになっちゃてたんですよ。

やりたいやりたいとは思いつつ。

で、今回、世界的に状況が一変して、アメリカも…やっぱりアメリカって元々音楽の仕事もすごく多いので、音楽で生計を立てて行くっていうのはとても容易と言ったらアレですけど…

 

壱岐:そうですよね。絶対数が全然違いますもんね。

 

髙本:全然違います。

だったのが、仕事がすべて消滅し、オンラインでできる教える仕事とか、リモートで参加できる仕事とかに限られてきて、一気に時間ができ、家にずーっといる時間が増えて。

自分を見つめ直したというか、自分は今、何をするべきなのかっていうのを考えた時にやっぱり曲を作るべきだし、今やらないと、今自分に鞭を打ってじゃないけど、自分にエンジンをかけてやらないともうチャンスはないくらいに考えて。

それで今回のアルバムを作るにあたって、デモをたくさん作ったんですけど、30曲できた段階でプロデューサーさんに提出して曲を選び、レコーディングしたっていう流れです。

 

壱岐:30曲作ってからのなんですね。

 

髙本:そうです。

自分にちょっとだけハードルのある目標を作りたいと思って、この日までに30曲にするって紙に書いて壁に貼ってやりました。

 

壱岐:なるほど。そこから今回6曲にするのは、構成とかも含めて結構悩んだんじゃないですか?

 

髙本:結構ね、悩みました。

っていうのも私、何も考えないで作ると、結構カラーが割と暗め、ダークトーンで、ゆったりしているというか……。

まあとにかく暗めの曲が多くなって、私のアルバムなので、一番自分をリプレゼントするという意味では、自分らしい曲を6曲っていう感じにしても良かったんですけど、やっぱりそのプロデューサーさんの意向というか意見もあって、やっぱり聴いた人がいろいろな風景を見られるようなアルバムにしようってことで、今回この6曲になりました。

 

壱岐:なるほど。結構変拍子のものも多いのかなっていう印象なんですけど、そこにもこだわりとかがあったりするんですか?

 

髙本:そこは実は、こだわりはそんなになくて、変拍子が先ほど流させて頂いた3曲目と、あと5曲目「IGNITION」っていう曲の最初が8分の5かな。

最後の「Haru」っていうのも7拍子ベースなんですけど、特に最後の「Haru」とかは、7拍子で書こうとは思ってないですね。

そういうちょっと数にこだわったのは、やっぱり3曲目。

その他は、割と自然にできたかなと思います。

 

壱岐:書きたいものを書いたらたまたま変拍子だった。

 

髙本:うん。

 

アルバム名について

壱岐:今話に出た、アルバムのタイトルにもなっているアルファベットで『Haru』。これは絶対何かこだわりがありそうだなと。

 

髙本:そうですね(笑)『Haru』って私春生まれなんです。4月に生まれて。

 

壱岐:4月何日ですか?

 

髙本:4月15日、よいこの日です。

 

壱岐:あ、すごい。

 

髙本:そうなんです。だから良い子なんです。そう、それで、まあ春が自分の生まれた季節っていうのもあるし、春がとてもとても好きで。春の優しい光とか。「優しい世界」を求めてるんですよ。色々世の中ギスギスしているものを見ると、ちょっと悲しかったり、怒っている人とか、もちろん正当な怒りで表明すべきこととかもあるんですけど。ギスギスしちゃっているものを見ると、こう、優しくいたいなっていう気持ちが、日々自分の中にあるので。結構優しさみたいなものがテーマだったりして。それにピッタリなのがやっぱり自分の中では春っていう季節の、キラキラした感じとか、ウキウキした感じとか。「春」っていう言葉の語感もとても柔らかくていいじゃないですか。で、日本伝統の桜とか、日本を代表するもののアイコニックなものがある季節でもあるし、日本人としてアメリカでだす最初のアルバムとして、丁度いいかなと思い、つけました。

 

 

壱岐:いま、先行DL販売が始まったところで、まだまだバタバタだとは思うんですけど。これで一旦アルバムリリース一区切りしてからの、何か次の展開とかって決まってたりするんですか?

 

髙本:あるんです。今回のためにデモ30曲書いたので、毎日毎日曲を書いていて。で、曲を選んだ瞬間に曲書き月間が終わったので、あまり書かなくなって、あとはリリースに向けてレコーディングしたり事務作業したりに追われる毎日になったので、今また新しい曲を書きたい欲がすごいあって。あとはさっきもちょっと言ったんですけど以前弾き語りの活動をしていて、アメリカに来てからはほぼやっていないのでずっと歌は歌っていないんですけど、またそれも自分の好きなことだからやりたいなっていう気持ちがあって。次の作品は歌を入れた作品にしようかなと思っています。

 

壱岐:なるほど!企画ももう動いている感じですか?

 

髙本:はい。あとはライブもしたいですね。

 

壱岐:そうですよね。生演奏とかもね、なかなか難しいご時世ですけど。それじゃあ、アルバムリリースしたけど、ここで止まらずもう次の企画も動いているということで、乞うご期待という感じですね。

 

髙本:はい。どちらかというと私はスタートラインにやっと立てたぞっていう気持ちなので、ここからまた一歩ずつ進んでいきたいなという気持ちです。

 

壱岐:また告知とかあったらどんどんしにきてください。

 

髙本:ありがとうございます!いつもお世話になっています(笑)

 

壱岐:視聴者と一丸となって応援していきますので(笑)そんな視聴者の皆さんに最後にメッセージをお願いします!

 

髙本:はい。このアルバム、さっきもちょっと触れた私のルーツであるクラシック。あと私は4歳くらいの頃からテレビゲームが大好きで、ずっとゲームをしていたゲームっ子なので、ゲームの音楽も私のルーツに刻み込まれているなと思っていて。今回のアルバムもちょっとゲーム音楽っぽいなっていう感じもあると思います。いろんなジャンルが好きな方に楽しんでいただける作品になったと思うので、是非聞いてみて頂けたら嬉しいです。

 

壱岐:ダウンロードのリンクは説明欄の方に貼ってありますので皆さん是非チェックしてみてください。では、本日のゲストはアメリカ在住のピアニスト髙本りなさんでした。ありがとうございました!

 

髙本:ありがとうございました!


Rina Kohmoto 1st Mini Album 'Haru' Trailer

 

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