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七夕様で学ぶリハーモナイズ【第六回】定番のエンディング

連載|無料記事|著者:いきくん

 

こんにちは。いきくんです。

「七夕様」を題材にしてリハモを練習するシリーズの第六回です。

 

第五回はこちら↓

七夕様で学ぶリハーモナイズ【第五回】ドミナントセブンスあれこれ - いきいき音楽科

 

ツーファイブワン

さて、今回は「曲(1コーラス)をどうやって閉じるか」というお話です。

 

「1小節」単位でコードチェンジする場合、ジャズやここ数年のJ-POP・アニソンで非常に多いのが「ツーファイブワン」で終わるパターンです。

(あまり大きい声でいうと怒られる内緒の話ですが、「終わる」力のあるメロディであればハーモニーが必ずしも合致していなくても、ごり押しでツーファイブワン上に乗せてしまうとたいていサウンドします。)

 

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このIIm7→V7→Iは全てダイアトニックコードの最もシンプルなツーファイブワンですが、トラディショナルなスタイルのジャズでは「II7」が使われることが非常に多いです。

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ハッピーなスウィングものはもちろん、バラードにも見られるパターンなので、そういった時代の雰囲気が出したい場合は覚えておくと便利です。

 

他にもシンプルな「IV→V→I」や「I/5(第二転)→V7→I」、マイナーキーの「♭VImaj7→V7→Im」「♭VI7→V7→Im」など、

「細かくみると違うけど類似のハーモニックリズムを使うパターン」をセットで覚えておくと選択肢が広がります。

 

七夕様の場合

しかしながら、この曲の場合最後の4小節(※倍の尺)を、1小節ずつ「ツー→ファイブ→ワン」と進むと、メロディ側の解決ポイントとコード進行の解決ポイントがずれてしまいます。

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「敢えて」ならアリですが。

 

2拍チェンジなのか、1小節チェンジなのか、文脈によって言い方が変わるので、これはもちろんひとまとめに語れることではないのですが、

 

コーラスの終わりの解決ポイントは大雑把にいって、最後の2小節でトニックにいくタイプのもの、最後の1小節でトニックにいくタイプのもの、に分けることが出来ます。

(繰り返しますが1拍チェンジ、2拍チェンジ、1小節チェンジなど主となるハーモニックリズムによって数え方は変わりますし、例外は多々あります。)

 

七夕様の場合、メロディは後者に該当しますから、それに合わせてコード側の解決を「保留」して引き延ばすというのもひとつの手です。

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拡張(エクステンド)

ツーファイブワンはいわゆる「4度進行」の連続によるコード進行ですが、この4度進行を更に「拡張」するパターンもよく使われます。

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この場合解決ポイントは最後から2小節前に来ているわけですが、では最後の小節まで解決を引き延ばすにはどうしたら良いでしょうか。

 

もちろん先ほどと同じでもいいのですが、例えば他には……

帳尻合わせ

各コードの拍数をいじって帳尻を合わせるという選択肢もあります。

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(このときコードクオリティはある程度柔軟に考えます。詳しくは第二回。)

 

更に拡張

あるいは、4度進行を更に遡ることもできます。

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ツーファイブワンの連続、ジャズでは最も素直な進行とも言えます。

 

オルタナティヴ

似たような方向性ですが、「There will never be another you」で有名な例です。

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ちなみに僕が1コーラス目で実際に採用したコード進行はこんな感じです。

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終止保留

先ほど「Gm7→C7→B♭/F→F」で解決を引き延ばす例を紹介しましたが、

 

これは先ほどのように「メロディに合わせるため」だけでなく、「メロディだけ一足先に主音に解決して、コードが遅れてついてくる」という演出も可能です。

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フリジアン・モーダルインターチェンジの♭IImaj7はジャズバラードの終止保留などでも定番の選択肢です。やり過ぎるといやらしいですが…。

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僕がよくやるのは、繰り返しが前提のとき、そのコーラス内でトニックにいかず♭IImaj7を最後のコードにしてしまうパターンです。繰り返して1小節目に戻った時ようやくトニックが鳴ります。

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また、この♭系のコードを更に4度進行でエクステンドしていくパターンもあります。

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アレンジ次第ですが遡ろうと思えばどこまででも遡れますし、コードクオリティを変化させることも視野に入れると、選択肢は更に広がっていくはずです。

 

循環の2段目

最後におまけで、「循環」と呼ばれるタイプの曲にもよく見られる、定番の「終われるエネルギー」を持ったパターンを2つ紹介します。

 

「ド→ミ→ファ→ファ♯(実音:F→A→B♭→B♮)」というベースの動きが特徴的なパターン。

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「ド→シ♭→ラ→ラ♭(実音:F→E♭→D→D♭)」という内声の動きが特徴的なパターン。

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細部は無限に変化します。

 

というわけで、今回はここまでです。「曲をいかにして閉じるか」というのは、作編曲においてもアドリブにおいても選択肢を増やしておくといいポイントだと思います。

 

こちらの動画もよかったら併せてチェックしてくださいね!

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次回、第七回は「メロディとコードでキーが違う」です!